

安産のために無痛分娩(麻酔薬を利用して出産時の痛みを取り去る分娩方法)を選択するのもひとつの方法です。いくつか種類がありますが、近年では安全性の高い“硬膜外麻酔分娩”が主流となっています。

硬膜外腔(背骨の外側(背中側)にある空間)に局所麻酔を行い、出産時の痛みを和らげる方法です。 リラックスしてお産に臨むことができます。

痛みが和らぐと筋肉や産道の緊張がほぐれお産がスムーズに進みます。 通常の分娩と比べて分娩時間が短縮されますので、母子ともにあまり疲れずに出産を終えることができます。
人間の身体は痛みを感じるとカテコールアミンというホルモンを分泌します。 このホルモンの過剰分泌は、赤ちゃんに大きなストレスを与えます。 ですから、お母さんの痛みが少なくなることは赤ちゃんも楽な状態でいられるということなのです。
痛みによる血圧や心臓への負担が減ります。平常から血圧が高めの方や妊娠中毒症の方も安心してお産に臨めます。 産後出血の減少、胎児仮死や子宮破裂の危険因子の減少などのメリットがあります。

■ 下半身の感覚が弱くなる
→ 適時導尿を行います
■ 血圧が低下する
→ 麻酔薬の注入の前に血圧低下予防の処置をします
■ 麻酔後7〜8時間して皮膚が痒くなる
→ 痒みを止める注射で症状を抑えます
■ 頭痛や背中の痛みが数日間残る
→ 一時的なものなので必ず完治します
極めて稀に、麻酔薬が多量に脊髄周囲の血管に入った場合、めまいや呼吸循環不全(※)を起こすことがあります。麻酔中にはこのような症状の有無を調べ、適切な処置ができる体制を整えています。
(※)稀におこる合併症の例:局所麻酔薬中毒・くも膜下注入・硬膜外血腫・硬膜外膿瘍・神経障害(感覚異常)など


あまり早い時期から麻酔を開始すると分娩所要時間が長引くことがあります。
事故や副作用などを防ぐためにも分娩の開始時期が肝心です。
■ 子宮口が4〜5センチメートル開いていること。
■ 陣痛が規則的となり、分娩が活動期に入っていること。
■ 少量の陣痛促進剤でスムーズな分娩が期待される状態であること。
これら3つの条件が揃った時が麻酔薬の注入に最適なタイミングです。

1. 入院
子宮口が4センチメートル程度に開大し、
子宮の収縮が20分以内に1回あるころから入院するのが理想的です。

2. 絶食

3. 浣腸(必要に応じて)
1. 乳酸化リンゲル液の輸液。
麻酔による低血圧を予防します。

2. 局所麻酔剤の投与
横向きになり、エビのように背中を丸く曲げます。腰のあたりの硬膜外腔にカテーテルを留置し、麻酔剤を注入します。硬膜外麻酔に使用する局所麻酔剤の効果は緩やかに表れます。このときに陣痛を感じる場合がありますが、次第に痛みを感じにくくなります。

3. 血圧測定

4. 分娩監視

5. (必要があれば)陣痛促進剤の投与。
麻酔薬の使用総量を少なくするためです。

以下の場合、硬膜外麻酔分娩はできません。
■出血が多い ■凝固異常がある ■心疾患や神経疾患がある
■横向きの姿勢をとれない ■技術的に困難である ■感染症がある
局所麻酔薬の濃度を上げることで以下の可能性が大きくなります。
■吸引分娩や鉗子分娩 ■分娩第2期の延長 ■子宮収縮薬の使用。
その他
通常の分娩で起こり得る、胎児心拍数の異常や胎盤早期剥離による出血などは、
硬膜外麻酔分娩であっても発生する可能性があります。
麻酔剤の使用量を抑え、お産をスムーズに行うために
「人口破膜」「子宮内圧測定」「陣痛促進剤の投与」「抗生物質の投与」を行います。